堤の外と中とでは、その姿が大きく異なるのです。
堤の外は、沢山の家やマンションが建つ住宅地。
そして堤内部は、田畑あり、草原あり、運動施設あり、公園あり、
それに大阪まで続く自転車道ありと、将に市民の憩いの場でもあります。
自然的にも、京都市では見なくなった貴重な生物も多く生息しております。
例えば、カヤネズミ。
河原などに生える茅やヨシなどに巣を作ることが知られた
体長5cmほどの小さな野ネズミですが、
現在、生息域の現象に伴い、その個体数を大きく減らしています。
私も、鳴く虫採集の際に数回見かけたことがありますが、
非常に小さくてカワイイネズミです。
また、クツワムシやマツムシといった鳴く虫、
川には、コイ、フナなどに加え、外来魚の影響で今では珍しくなった
クチボソやアブラハヤ、イシガメなどが生息しており、
京都市内を流れる川でありながら、
生態系の上でも非常に貴重な川なのであります。
その桂川で、今秋より大規模な河川改良工事が始まりました。
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今回の河川改良工事は、昨年の台風18号により、
嵐山を始め、桂川流域に甚大な被害をもたらした為、
今後の増水被害を抑えるために行なわれるものです。
嵐山と同じく、増水した水が堤防を超え、周辺に甚大な被害をもたらした久我地区。 今でも、堤には土嚢が積まれています。 |
さて、今回の工事の概要が、
河川敷の自転車道路沿いに数ヶ所掲示されていました。
小さくて分かりにくですが・・・河川敷に自然に生えた木々を伐採し、堆積した土砂を除去するという。
つまりは、自然の姿ではなくなり、
限りなく人工河川に近づくという改良ならぬ改悪工事とも言えるのでは?
しかし、先の被害を考えると、
人命を尊重しなければならないこともわかります。
写真の↑場所も、数日前までは葛やススキが生えた
自然豊かな河原であったのですが、
今ではスッカリ草も刈られ、土を踏み固めて砂利を敷き詰め、
重機が通る道が造られているのです。
ここは、先の看板によると改善箇所なので、
重機の前に木々も切り倒され、
重機道を含む全ての土砂が撤去され、河原が拡張される予定。
つまり、工事終了時点では、この場所は水の中という事になります。
河川敷に造られた重機道と足場。 幾度となく、虫捕りや魚釣りに通ったこの場所もいずれ水の中。 |
この場所でも、カヤネズミを見かけたことがあります。
それに、この数日前にはここで、エンマコオロギが産卵していました。
残念ながら踏み固められた地面には、今はもうどちらもいなくなりました。
河川各所にあるこの様な堰も、流れを妨げるとして撤去される予定。
今、切り倒されている木々についても、
かなりの期間を掛けて成長してきたはず・・・。
この様に、生態系的には多大な影響が心配される
今回の河川改修工事。
周辺地域(私の家も含む)の安全を考えると
致し方ないのかもしれないですが、
やはり、こうして自然が又一つ消えていくのかと思うと、
何とも切ない気持ちになってしまうのであります。
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