前回、「壮絶なるひきがえるの産卵」と題し、2回に渡り産卵行動を紹介してきましたが、
今回は、そのまとめとして、繁殖に関する不思議や疑問を「繁殖論考」というような
何だか、大げさなタイトルでまとめました。
ただ、私はその道の学者ではありませんので、
間違いも多いかもしれませんが、これまでの飼育体験やフィールドでの観察記から、
私論を交え検証していきます。
(*以下、我がフィールドである京都での状況をモデルケースにしています)
★産卵期の不思議★
変温動物であるヒキガエルは、当然冬になり温度が下がると
冬眠行動を行います。地域により多少の誤差があるかと思いますが、
京都では、11月の中頃~遅くとも12月初旬には冬眠に入ります。
そして、カジカガエルやモリアオガエルが、まだ深い眠りについている3月中旬、
一斉に起き出し、産卵行動に入る。
わざわざ、冬眠を中断して産卵行動に出るのである。
再度引き合いに出すのですが、カジカやモリアオは春に冬眠から覚め、
餌を獲り、十分に体力をつけた後、産卵に望みます。
餌を獲り、十分に体力をつけた後、産卵に望みます。
ここで、一つ目の疑問です。
◎ナゼこの時期に産卵するのか?
これは、天敵の問題ではないかと考えます。
例えば、「モリアオガエルの卵塊の下で、イモリが待ち構えている」と
いうのは、よく聞く話であるし、実際、我がフィールドでも、
カジカが卵を産み付けた石をめくってみると、
いうのは、よく聞く話であるし、実際、我がフィールドでも、
カジカが卵を産み付けた石をめくってみると、
大量のゴリが、卵及び孵化したてで、動きが自由にならないオタマを
食べに集まっている光景を何度となく見たことがあるのだ。
食べに集まっている光景を何度となく見たことがあるのだ。
冬眠から覚めたカエルが、活発に行動するということは、
天敵も活発に行動するということなのです。
イモリ・ゴリなどの他にも、ヤゴ、ミズカマキリなどの水生昆虫・
ハヤなどの小魚・鳥類が、オタマを狙い活発に行動します。
ヒキガエルは、多産。
多産ということは、言い換えれば「生存率が極めて低い」ということなのです。
このことから、天敵の少ないこの時期に産卵するのではないでしょうか。
◎一斉に起き出す不思議
ヒキガエルは、冬眠を中断して産卵行動を行います。
ヒキガエルは、冬眠を中断して産卵行動を行います。
中断ということは、産卵を終えると又、少しの間冬眠の続きをします。
しかし、どうして一斉に起き出すことが出来るのでしょうか?
ヒキガエルの体内時計によるものだと考えています。
サイトなどで見ていると、冬眠から目覚めるのは「温度」と言うご意見が多いようです。
しかし、実際のフィールドでは、温度は一様ではないのです。
木の陰、石の下、風の流れetc・・・で大きく変わります。
ヒキガエルが、一様に同じ場所で冬眠しているのなら、このことも納得ですが、
てんとう虫のように、集団で冬眠するということはありません。
また、その年々により、気象条件が違いますが、
ヒキガエルの産卵時期は、暖冬でも例年より寒い冬でも変わらないのです。
このことから、産卵期は体内時計により感知するのではと、思います。
◎産卵期に皮膚がたるみ、ブヨブヨになるのは?
これは、水中産卵に備えての体型の変化だと考えます。
同じような変化は、タゴガエルや渓流域に住むナガレヒキガエルなどで
見ることができます。
体表の面積を増やすことにより、水中での酸素吸収を役立てているのでしょう。
しかし、ヒキガエルは基本的に産卵中でも時折、水面に頭を出し空気を吸います。
なので、皮膚呼吸をしているというよりも、
補助的な意味合いがあると考えます。
◎「ガマ合戦(蛙合戦)」はなぜ起こる?
これは、理由がはっきりとしています。
オスに比べ、メスの絶対数が少ないので、メスの取り合いが起こります。
周りから見ていると、「どのヒキがペアになっても同じようなもんだ」と
思いますが、彼らは本能的に「自分の子孫を残す」ことが
非常に大切だと知っているのです。
時には産卵場への道中で、時には水中で、組んず解れつ団子になりもつれ合い、
「われが、われが」とメスへ群がります。
しかし、この行為が実は、冬眠明けで体力がないメスの更なる疲労をもたらし、
不慮の事故死を遂げることも多いのです。*壮絶なるヒキガエルの産卵ページへ
ヒキガエルは陸生のカエルで、産卵期以外は基本的に水に入りません。
ご存知のようにカエルは、腹から水分を吸収します。
特に、ヒキガエルはこの特徴に優れているようで、我が家でも水容器などは
用意していません。
時々、霧吹きで水を与えるだけです。
ただし、飼育材にはタップリと水が含ませてありますが・・・
なので、自然の産卵場は「エッ!こんなところで?」という場所で産卵することが
あります。
私のフォームグラウンドでは、竹林の中に点在している、直径わずか1.5mほどの
「農業用水ため」で産卵が行われています。
ココは、標高200mほどの山中で、谷筋を流れる川からもかなり離れています。
「ため池」ではないので、本当に小さく「えっ、こんなところで!?」なのです。
その他の産卵地としては、家や寺の庭にある池、普段は水が流れていない、
側溝の水たまり部分などでの産卵報告があります。
◎水があれば、どこでも産卵するのか?
ヒキガエルは、前途した通り、産卵期以外は水に入らない陸上性のカエルです。
そのことは、手足にも特徴として表れています。
ヒキガエルには、水かきがほとんどありません。
後ろ足にわずかに水かきが確認できますが・・・
このことからも、カエルであるにかかわらず、泳ぎがほとんどできないのです。
よって、産卵もしかり。
湖沼や農業用水溜めなど、止水域で行われます。
川では、水流に流されてしまい、上手く産卵を行うことができません。
しかも、ヒキガエルの卵は、カジカガエルのように粘着性がないので、
川では流されてしまいます。
ただし、「ナガレヒキガエル」という種類に関しては、
水中生活に適した立派な水かきをもち、河川の渓流域で、
産卵を行行います。しかし、一般的に生息域が限られ、
なかなか姿を確認し難いヒキガエルです。
◎多産の理由
ヒキガエルは非常に多産です。
大きな個体になると、1万個位の卵を産むことも珍しくないのです。
多産の理由として、多くの動物に共通することですが、
「生存率が低い」ということなのです。
一説によると、1万個の卵から無事成体になるのは、
4~5匹、多くても10匹程度と、言われています。
ヒキガエルのオタマは、本当に小さいです。全長約1.5~2cmぐらいでしょうか。
オタマの発生時期は違うのですが、カジカガエルと比べても、
ヒキガエルのほうが小さいのです。
一方、成体のヒキガエルは大きなモノですと、胴長で15cm、
手足を入れると30cm近くになりま
す。カジカガエルのオス成体が、4cm程ですから、
その成長ぶりには、たいへん驚かされます。
さて、ではなぜヒキガエルのオタマはこんなに小さいのでしょうか?
私は、やはり「産卵場所と多産」が大きな要因であると考えます。
ヒキガエルの産卵場所については、前途した通りですが、
本当に小さい水たまりのような場所で、沢山の卵を産むケースが多いのです。
中には、孵化する前に死んでしまう卵も沢山ありますが・・・(ノД`)シクシク
さて、孵化してオタマになった場合に必要になるのは「餌」です。
水たまりのような場所で、沢山の卵が孵化したとしたらどうなるでしょう?
たちまち、オタマ達の間で、少ない餌の取り合いになります。
しかし、体が小さいことによって、わずかな餌でも、シェアすることができるのです。
これが、川のように広く、又、流れがあるようなところでは、移動も自由ですし、
川の流れに乗って餌も運ばれてくることでしょう。当然オタマも、
大きいほうが生存率は上がると思います。
なのに、あえて小さい体で、大きく育つ。これが、ヒキガエルのライフスタイルなのです。
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どうも。どうもです。
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